眼差し


ロッサは今年、「世界的、若手スターを獲得した!!」とオーナーは記者会見で発言した。
マスコミ各社は「ロッサは誰を獲得したんだ?」など、いろんな意見を交わしていた。
それを聞いたオーナーは、選手名を明らかにした。

「私が、獲得した選手は・・・・」
会場は静まり返っていた。

オーナーが発言した、「ミランのピルロ選手です!!」。

それを聞いたマスコミ各社は、理解できなかった。
ロッサの戦力はFW、MFともに充実しており、穴と言えばDFだからである、だから、マスコミ各社は、DFを獲得したとばかり思っていたからである。DMFには日本代表の福西がいたからである。

その日のうちに、オーナーは選手達にピルロの起用法をはなした。
「一応、ピルロは2年間留学にだす。留学から帰ってきたらスタメンで出す!皆そのつもりでいてくれ」
この言葉に福西は、不快感をもっていた。
福西からせれば、この言葉は戦力外通知みたいなものであった。
だが福西は、「もっと頑張って、うまくなれば、オーナーの考えもきっと変わる!!」
そう思って、福西は、頑張っていた。


そして2年の月日が流れて・・・・・



今年のレギュラーが発表された。
FWの方から順番に発表されていき・・・・ついにDMFの番が来た。
「DMFは・・・背番号10番ピルロ」
福西は、それを聞いた瞬間くやしがった。
そして、次はDFの起用法を発表した。「今年からDFは福西を軸に守っていく!!」。
だが、福西はオーナーにこう言った
「・・・俺がしたいポジションはDMFだ、DFじゃない!!ふざけるな!!!!」
そういって、福西はクラブハウスからでていった。
それからしばらくして福西はロッサから姿を消していた・・・・


ロッサはピルロを基点に攻撃のリズムがよく連勝していた。だが、DFは、明らかに穴だらけであった。
福西はこの様子をTVや新聞で知っていた。
福西は何気に気にしながらも、考えないようにしていた、外をぶらついていると少年達がサッカーをしている姿を見つけた。

少年達のサッカーを見ていたら、足元にボールが転がってきた。
少年達は福西に「ボールを蹴ってください!!」と言ってきた、福西は軽くボールを蹴って少年達にかえしてやった。

福西は少年達のサッカーを見ていて思ったことがあった
「ポジションなんてかんけいないんだな〜。皆一つのボールをおっているし」
福西は少年達のサッカーを少し懐かしい気持ちで見ていた・・・・・・その時、福西はいきなり走り出した、向かった先は、ロッサのオーナー室であった。
オーナー室に着くなり、いきなり土下座をして、オーナーに向かって発言した。

「オーナー!!もう一度、俺にサッカーをやらしてください!!」

しばらくの沈黙のあと、オーナーは福西に言葉をかけた。
「君が、我がチームを出ようが、戻ろうが、君のサッカー人生だから、私がとやかく言うことはできない。だが、戻るのであるならば、君はDFで起用する、それが嫌ならば、受け入れられない!!」
福西は笑いながら答えた。
「オーナー、俺、今やっときずいたんです。いままでずっとDMFとしてやってきたけど、サッカーはDMFだけじゃないし、試合になればポジションなんて関係なく11人の中の一人だということ、だから、サッカーさえできれば俺はどこでもいいです!!」
オーナーも笑いながら福西に言葉をかけた。
「よし!!今から早く練習に行って来い!!お前はブランクがあるんだからな!!」
福西は笑顔でオーナー室をあとにした。
また、ピッチの上に立ちたいと強く想いながら・・・・

           完