たった三日間"も"-本当なら・・


「母さん俺行って来るよ」
夕飯迄には帰ってくるわよね・・五広がいる為に風祭家には悩みの種が尽きなかった来る日も来る日も。
「もう、俺子供じゃないんだから!!」
そんなあの子ももう16。
あの大阪デスのユースに入ったって言うじゃない?

鼻が高いわっ!!

来る日も来る日も練習漬けだった日々。誰よりも熱心だった・・ なんだっけ?野球?ほら、あのボール蹴るやつ。ま、なんでもいっか・・。それに比べて弟は・・

そんなある日が来る。
「母さん俺合宿いってくるわ」

ぇえっ?

「大丈夫なの?身体壊さない?」

心配だわ

「何言ってんだよwたった三日だよ」

三日なら・・

それが元気なあの子を見た最後だった、母さんを国立に連れて行くんじゃなかったの?
ねぇ、五広!!
こんなことなら行かせるんじゃなかった・・油野コンツェルンの力は強大だった。横たわる無残な五広はもう、冷たくなっていた。

15年後・・大阪デス悲願の初優勝。背番号6この日の立役者は祝勝会もそっちのけで急いで家に帰る。

「母さんただいまー」

ったくクタクタだよ

「おかえり・・ 五広!?」

いえ、まさか!?
そんなわけないわね・・ 弟の六広だった。

「オイリス大東に入ったアンタの顔なんか見たくないわよ」

ちっ、つめてぇなぁ。こんなコトならデスに入っとくんだった。

ガチャっ

「おかえり、二広!!優勝おめでとう。兄さん達は?」
「ぁあ、俺だけ帰ってきた。兄さんや三広達は祝勝会中。」

六男 六広を残し大阪デスに入った風祭ブラザーズ。
私、デイリースポーツ吉野は確信しています。来期も大阪デスは優勝するはず。

くっ・・

私に出来るのはこれくらいだ・・ 五広選手すまない。いくら油野オーナーの命令とはいえ・・せめて私は今後のスポーツ界の発展に尽くそう。君が付けるはずだった背番号6も二広選手が立派に引き継いでくれています。