恩返し
〜第二章、決意会見反する行動〜


実況「やりました〜!!ついにレアル完全優勝です」

・・・

このときも彼はピッチにたち、ゴールをあげていた。
今では日本で彼を知らないものはいない・・・。
その名は・・・武本晴喜 FW現役31歳

彼がプロになったのは11年前・・・
それまでは何の変哲もないサッカーが好きな少年でした。
その時の所属していたJFLチームがなんとJ2に!!
そのときから彼のサッカー人生が始まった。

      〜第二章、決意会見〜

タクシーに揺られながら、音楽を楽しんでいる武本。
ホームスタジアムが見えてきた。
武本(俺はここのピッチにたって、プレーするのか・・・)
口には出してはいないが、やはりバッジェーナでのプレーは
彼には忘れられないらしい・・・

ぎぃぃぃ〜・・・

どうやらついたらしい。顔を上げたら真新しいクラブハウス。雪がつもたグラウンド。なにもかも新しく、しかも白かった。クラブハウスの中にはいると、きれいで美人な人が彼に話しかけてきた。

武本(彼女がこのクラブの秘書なんだ)
秘書「武本選手でいらっしゃいますか」
武本「いかにもそうですが」
秘書「ではこちらへ」
そう案内されながらついて行くと、レアルの当時キャプテンだった赤星選手とすれちがった。赤星は気にもせずとおっていった。
秘書「今の人が、我がクラブのキャプテン赤星選手です」
武本(なんてひどいキャプテンだ!!移籍することぐらい知ってただろう)
そんなことがあったが代表がいる部屋へ・・・
ぎぃ・・・っとドアが開いて武本が入っていった。
代表「やあやあ、こんにちわ」
武本「どうもはじめまして・・・」
代表「いやいや、君のことはバッジェーナの代表さんから聞いてるよ」
武本「そうですか・・・」
代表「早速だが、記者会見を明日開こうと思っている。どうかね」
武本「いいですよ」
代表「では、明日10時にクラブハウスにきてくれたまえ」
武本「わかりました」
と、約束をして彼は帰っていった。

借りているマンションにつくと、今日は疲れたのかすぐ寝てしまった・・・横になりながら思った。
(明日の会見なにはなせばいいのかな〜。まあ適当でいいか。代表は優しそうな人でよかった。でもあのキャプテン が気にいらね〜)
そう思っていると、うとうとと眠りについた。

次の日の朝。7時という早い時間に起きた。寝癖を直して、ユニフォームの上から背広を着て、ネクタイ締て・・・。そんなことであっという間に時間が過ぎて、9時になった。クラブハウスへは車で30分ほどだった。期待と不安を胸に車に乗り込んだ。

クラブハウスには予定より少し早く到着した。でも、もう記者はたくさんいた。
武本(すごいな〜こんなに人が来るとは・・・)
クラブハウスのドアをくぐるなり、パシャ、パシャっとカメラのフラッシュが・・・。彼はとてもまぶしかったと思う。その記者のなかを通り抜けて、待ち合わせの場所にたどりついた。
代表「君の人気はすごいな〜。とても新入りとは思えない」
武本「いやなんも・・・」
彼の顔が少し赤くなっていた。

それから30分・・・。記者会見が始まった。
代表「彼が私たちのクラブの新戦力の武本晴喜選手です。彼はバッジェーナからやってきました。きっと期待どおりの活躍をしてくれるでしょう」
ぱしゃ、ぱしゃっとまたしてもカメラが光る。
そんな中、司会からの「挨拶を」といわれたのでマイクの前で会釈をして小声で話しはじめた。
武本「こんにちわ。今日は僕のために集まっていただき、まことにありがとうございます。僕は先ほど紹介のあったように、このたびバッジェーナからやってきました 武本晴喜ともうします。このチームはとてもすばらしい最高のチームです。このチームに少しでも早くなじめるようにがんばっていきたいと思います」
またもフラッシュの嵐。司会が手っ取り早くすすめて記者の質問が始まりました。
記者「このチームをどのようにしていきたいですか」
武本「Jリーグだけではなく世界で戦えるようなチームにしていきたいです」
記者「趣味はなんですか」
武本「んん・・・つりですかね」
・・・といろいろ質問されて少し疲れた武本を見て
司会「では最後の質問とさしていただきます」
記者「なぜ移籍をされたのですか」
武本「恩返しのためです」
記者たちは少しざわめいた。このことに疑問をいだいた記者も多くはないと思う。まして代表もこのことが気になった。
これで記者会見が無事終了した。
代表が近づいてきて
代表「君がいっていた『恩返し』とはなんだ」
武本「きっとそのうちわかりますよ」
といってクラブハウスをあとにした。

後のこの記者会見で答えた「恩返し」がよくない方向へ彼を悩ませることとなる・・・